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COLUMN 制作協力アストロアーツによる「planetarian」解説コラム これを読めばplanetarian ~星の人~がもっと楽しめる!! COLUMN 制作協力アストロアーツによる「planetarian」解説コラム これを読めばplanetarian ~星の人~がもっと楽しめる!!

アニメ『planetarian』の“星”

『planetarian』プラネタリアン……ちょっと耳慣れない言葉ですが、プラネタリウム解説員のことです。アニメ作品、配信版『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』と、劇場版『planetarian~星の人~』では、プラネタリウムがとても重要な役割を担っています。ここでは、特に「星」をテーマに作品の見どころを紹介しましょう。

本物のプラネタリウムのような星空を正確に再現

プラネタリウムといえば、大きなドームとその中に鎮座した投影機が思い浮かびます。座席にゆったりと身を沈め、赤く染まった夕空と沈んでいく太陽、解説員の語りが私たちを星々の世界へ引き込んでいく……『planetarian』では、多くの人が味わったことのあるこんなシーンが出てきます。

作中で投影される星空は本物のプラネタリウムさながらに、星空を正確に再現しています。これは、リアリティにこだわる津田尚克監督の希望で、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」やデジタルプラネタリウム投影システム「ステラドームプロ」を開発しているアストロアーツの全面協力により実現しました。監督は、以前演出をつとめたアニメ『宙のまにまに』(高校の天文部が舞台)でステラナビゲータのことを知って、「星空のことならアストロアーツ」と覚えていてくださったとのことです。天の川とそこに重なる夏の大三角「ベガ」「アルタイル」「デネブ」をたどっていく解説シーンは、本当にプラネタリウムで投影を見ているような感覚に浸れます。

こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブが形作る「夏の大三角」を、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ10」で再現。『planetarian』では、デジタルプラネタリウム投影システム「ステラドーム」が描き出す星空データを使い、アニメ史上かつてない精度とリアリティを持った星空空間が現出しました。

アナログ式投影機に注目!

監督のこだわりは、投影機本体の描かれ方にも表れています。原作でも投影機は、今では少なくなってきている「アナログ」な「二球式」で描かれていますが、これは兵庫県の明石市立天文科学館で1960年から稼働している“長寿日本一”のプラネタリウム「カールツァイス UPP23/3」がモデルなのです。アニメ化にあたり制作チームは明石まで行き、実物の投影機をリサーチしてきたそうですよ。

明石市立天文科学館のプラネタリウム「カールツァイス UPP23/3」。1960年以来、56年の長きにわたり、星空を届け続けています。(撮影/月刊星ナビ編集部)

今では、多くのプラネタリウム施設がコンピュータ制御された「一球式」になっていますし、液晶プロジェクタによってドームに星空を写しだす「デジタルプラネタリウム」も増えてきました。『planetarian』では、ずっと未来の星空を投影する(実際には投影していないのですが)シーンがあります。デジタルプラネタリウムでは、過去も未来もコンピュータが瞬時に計算して投影できますが、ギアを回転させるアナログ式では投影機を何回転もさせないと、過去や未来の星空や、惑星の位置を再現できません。作中で未来の星空を投影する時に、投影機が高速回転しているように演出されている点は要チェックです。

作中で登場するプラネタリウム“イエナさん”。この愛称は、ドイツの精密光学機器メーカー、カール・ツァイスが、第2次世界大戦後に東西ドイツに分かれた後、東ドイツのカール・ツァイスがその本拠地の街の名を冠して「カール・ツァイス・イエナ」と呼ばれたことからきています。イエナさんのモデルとなった明石市立天文博物館の「カールツァイス UPP23/3」は、東ドイツ製です。

未来とレトロが織りなす世界

少女型ロボットの「ほしのゆめみ」が星空解説を行うという未来的な設定なのに、レトロなプラネタリウムが活躍するのはギャップを感じますが、作中でゆめみに「私の大切なパートナーです!」として紹介される投影機ですから、昔ながらの馴染み深いシルエットがしっくりくるのかもしれません。また映画では、小型の一球式の投影機で人々に星空を見せながら各地を旅する「星の人」が登場します。

『planetarian』の舞台は大戦により荒廃し、常に雲が空を覆っている世界です。雨や雪が降り続け、太陽も月も星も見えず、人類はその中で静かに滅亡へ向かっている……。その中で、本当の星を見たことのない人々がプラネタリウムの星空に魅せられ、かすかな希望を見出していくストーリーは、「星を見上げること」の意味を私たちに考えさせてくれます。

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